バス運転手(ドライバー)になるには?:必要な免許と取得方法から仕事内容とその魅力まで
はじめに
我々の生活を支える公共交通機関、バス。
その運転席に座るのは、日々安全な運行を守り続けるバス運転手です。
乗客の生命と時間を預かる彼らの仕事は、決して簡単ではありませんが、同時に大きなやりがいも感じる仕事です。
この記事では、その魅力や必要な資格、バス運転手の種類についてバス会社ならではの、実例や体験談を交えながら、詳しく解説していきます。
その上で、バス運転手として働くことのメリットとデメリットを理解できるように、具体的な情報を提供していきます。
この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
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バス運転手になる魅力
多くの人々を目的地へ運ぶバス運転手の役割は、社会に対する大きな貢献となります。
また、さまざまな人々と出会う機会もあり、多くのコミュニケーションや体験があります。
そして、バスの運転は一見難しそうに思えますが、適切なトレーニングと経験を積むことで、誰でもマスターすることが可能です。
バス運転手の業務形態の概要
バス運転手の業務は、主に乗客の送迎、運賃の収受、安全運転に関連しています。
そして、その業務は様々な種類のバスと共に変わるため、多様な働き方があります。
例えば、路線バス、観光バス、高速バス、送迎バスなど、その職種と仕事の内容は多岐にわたります。
バス運転手として働く会社の紹介
全国には数多くのバス会社があり、その規模やサービスはさまざまです。
大手のバス会社から地域密着型の小規模なバス会社まで、自分に合った会社を選ぶことが重要です。
働く地域やバスの種類によって、求められるスキルやサービス精神も異なるため、自分のライフスタイルや目指すキャリアに合わせて選ぶことをお勧めします。
バス運転手に必要な免許とは?
バス運転手になるためには、特定の運転免許が必要です。
その免許の種類は、運転するバスの種類やサービス内容によります。
具体的には、普通自動車免許、大型自動車一種免許、大型自動車二種免許の3つが主な選択肢となります。
普通自動車免許
一般的に最初に取得する免許が、普通自動車免許です。
これは、小型のバスを運転するためには必須の免許で、人数が10人以下の乗客を運ぶバスに限られます。
具体的には、送迎バスや小型の観光バスなのバス運転手として働く場合に必要となります。
大型自動車二種免許
大型のバスを運転するためには、大型自動車二種免許が必要となります。
これは、総重量11t・最大積載量6.5t・乗車定員30人を超えた大型車、つまり路線バスや大型の観光バス、高速バスなどを運転するために必要な免許です。
この免許を取得するためには、一定の条件が必要で、それらについては後ほど詳しく説明します。
大型自動車一種免許と大型自動車二種免許の違い
一種免許は、大型車を自己使用するための免許で、トラック、ダンプカー、タンクローリーなどの大型車両の運転をすることができます。
二種免許は、他人を運ぶための商用車を運転するための免許です。
つまり、一種免許ではバスの運転手として働くことはできず、人を運ぶためには二種免許が必要となります。
送迎バスの場合は普通自動車免許のみの場合も
また、送迎バスなどの小型バスの場合、普通自動車免許だけで運転することが可能です。
これは、送迎バスが10人以下の乗客を運ぶため、普通自動車免許で対応可能なためです。
しかし、大きなバスを運転したい場合や、商業用に人を運ぶ場合には、大型自動車二種免許が必要となります。
以上がバス運転手に必要な主な免許です。
適切な免許を取得することで、バス運転手として活躍する道が開けます。
大型二種免許を取るための条件と取得の流れ
大型二種免許を取得するためには、特定の条件を満たし、一定のプロセスを経る必要があります。
これは、安全な運転を確保し、多くの人々を運ぶ責任を担うための必要なステップです。
免許取得の条件
まず、大型二種免許を取得するための条件は、以下になります。
1.満21歳以上
2.第一種免許(大型、中型、普通、大特など)取得後、通算3年以上経過していること。※免停期間を除く。運転免許経歴証明書が必要な場合があります。
3.視力は両眼で0.8以上、片眼で0.5以上、深視力2.5mの距離で平均誤差2.0cm以内(眼鏡、コンタクトレンズは使用は可)。
4.赤・青・黄の3色が識別できること。
5.自動車の運転に支障を及ぼす身体障害がないこと。
※障害をお持ちの方は事前に運転免許試験場(運転適性窓口)にてご相談下さい
6.10メートルの距離で90dbの警音器の音が聞こえること。(補聴器使用可)
★持病をお持ちの方や、身体的にご心配のある方は、お住まいの都道府県の運転免許試験場(運転適性相談窓口)にお問い合わせの上ご相談ください。
★第二種免許等の受験資格の見直しについて(2023年5月13日)
特別な教習を修了すると、19歳以上であり、かつ、普通免許等を受けていた期間が通算して1年以上あれば、第二種免許、大型免許及び中型免許の運転免許試験を受けることができることとなります。
引用元:警視庁ホームページ
取得手段(自己取得とバス会社の養成制度を活用)
大型二種免許の取得方法は、自己取得とバス会社の養成制度を利用する方法のふたつがあります。
自己取得は、自分で運転学校に通い、必要な試験をパスすることで免許を取得する方法です。
一方、バス会社の養成制度を利用すると、会社が免許取得の費用を負担してくれる場合があります。
ただし、この場合、一定期間会社に勤める契約を結ぶ必要があることが一般的です。
大型二種免許の合格率
大型二種免許の試験は、一般的には難易度が高いとされています。
これは、大型バスを運転するという重大な責任を持つため、運転スキルだけでなく、法令知識や危機管理能力なども問われるからです。
それぞれの運転学校や試験地域により異なりますが、合格率は50%程度とされています。
大型二種免許の取得試験を直接運転免許試験場など(一発試験)で受けた場合、合格率はかなり低く、7%前後だと言われています。
具体的な大型二種免許取得の流れ(適性試験、学科試験、技能試験)
大型二種免許の取得プロセスは、一般的に次の3ステップからなります。
適性試験、学科試験、技能試験です。
・適性試験
視力、色覚、聴力などの基本的な身体能力がチェックされます。
・学科試験
交通法規、運転の安全などについての知識が問われます。
マークシート方式で、100点満点中90点以上の点数を取れば合格となります。
合否ラインが90点だとかなり難しい印象をうけるしれませんが、勉強をしっかりすれば問題ありません。
・技能試験
実際にバスを運転し、駐車技術や安全運転技術などを試されます。
「路上コース」と「場内コース」の2パスする必要がありまず。
場内コースの鋭角コースが難しいと言われ、切り返しは3回までで、路肩に乗り上げたり、擦ると失格です。
大型二種免許の取得は、初めての人にとっては大きな挑戦かもしれません。
ほとんどの方が合格までに2回以上試験を受けています。
しかし、このプロセスを経ることで、自信を持ってバス運転手として働くことが可能になります。
バス運転手の種類と各々の魅力
バス運転手と一言で言っても、その業務形態は様々です。
それぞれのバス運転手のタイプには、特色と魅力があります。
・路線バス
まず、最も一般的なのが路線バスの運転手です。
毎日定められたルートを運行するため、安定したスケジュールが期待できます。
さらに、地域の人々の生活を支える役割を担っていることから、地域社会への貢献感を感じることができます。
※高齢化社会がすすみはますます重要な交通手段となっています。
・観光バス
次に、観光バスの運転手は、観光地を巡るお仕事です。
修学旅行やバスツアーなど、観光・娯楽の交通手段となるバスで、観光バス運転手は、乗客の旅行をより楽しく、快適にする役割があります。さらに、日本全国や場合によっては海外の観光地を訪れる機会がありますので、旅行が好きな方にはぴったりの仕事です。
・高速バス
高速バスの運転手は、都市間を結ぶ長距離の運転が主な仕事です。
高速バス運転手は、長時間運転する耐久力と集中力が求められます。しかし、その反面、長距離ドライブが好きな人には最適な仕事で、さらには遠くの地方や新しい都市を訪れる機会もあります。
・送迎バス
最後に、送迎バスの運転手は、企業や学校、病院など特定の場所間を運行するバスの運転を担当します。
送迎バス運転手は、特定の人々と深く関わる機会が多く、その人たちの日常生活の一部になることができます。また、普通免許だけでも運転可能な小型の送迎バスも多く、免許取得のハードルが比較的低いという魅力もあります。
これらの中から、あなたのライフスタイルや興味、適性に合わせて最適な運転手の種類を選ぶことが大切です。
バス運転手になる方法とその現状と将来性
バス運転手になる方法は主に二つあり、それは入社前に自身で大型二種自動車運転免許を取得する方法と、入社後に会社の支援を得て取得する方法です。
入社前に大型二種自動車運転免許を取得
まず、入社前に大型二種自動車運転免許を取得する方法です。
自己負担で免許を取得すると、その後すぐに運転業務に就くことができます。しかしながら、学校への通学や試験費用など、自己負担の費用は決して少なくありません。
そのため、費用と時間を見極める必要があります。
入社後に会社の支援を得て取得
次に、入社後に会社の支援を得て取得する方法です。
一部のバス会社では、社員教育の一環として大型二種自動車運転免許の取得支援を行っています。
これは新人教育の一環として、費用負担を軽減しながら資格を得られる優れた機会です。
ただし、この方法を選ぶ場合、免許取得後の一定期間はその会社で働く必要があることを覚えておきましょう。
資格試験の難易度
大型二種自動車運転免許の資格試験は、基本的に運転技術、知識、そして適性を問われる試験です。
学科試験では交通ルールや運転技術に関する理論、技能試験では実際の運転技術が問われます。
そして、適性試験では、安全運転に適した性格や対応能力を見るための試験です。
これらは一般的には難易度が高いとされますが、適切な訓練と学習を経れば合格は十分可能です。
バス運転手の現状と将来性
バス運転手という職業は、人々の生活を支えるという大切な役割を果たしています。
現在、都市部での公共交通機関の需要増加や地方での交通手段としての役割、さらには観光業の発展に伴う観光バス運転手の需要増といった要素から、バス運転手の需要は安定しています。
また、高齢者社会が進むにつれ更に需要は高まることが予測されます。
また、近年はテクノロジーの成長に伴い、仕事が減少している職業が存在する中で、バス運転手に関してはまだまだ「人の手」が必要な職業です。
いわゆる「AI時代(自動運転技術の発展など)」が到来しても、需要が急激に低下してしまうということはまだまだないでしょう。
以上の理由から、バス運転手という職業は現在も将来も活躍の場が広がりつつあり、多くの人々にとって魅力的な選択肢と言えるでしょう。
バス運転手のメリットとデメリット
バス運転手という仕事には、その他の職業と同様に特有のメリットとデメリットがあります。
メリット
バス運転手の最大のメリットの一つは、人々を目的地へと安全に運ぶという重要な役割を果たせることです。
この役割は社会的にも非常に価値が認められており、乗客からの感謝の言葉や笑顔を直接受け取れる瞬間は、他の仕事ではなかなか得られない大きなやりがいとなります。
また、バス運転手は一定のスケジュールに従う仕事なので、規則正しい生活を送ることができます。これは自分の時間を管理しやすく、予定を立てやすいというメリットにつながります。
デメリット
一方で、バス運転手の仕事にもデメリットは存在します。
バス運転手は長時間の運転が求められる職業であり、そのため肉体的、精神的な負担が大きいことが挙げられます。
特に交通の混雑する時間帯や規定のスケジュールを守るためのプレッシャーは、ストレスになりやすいです。
また、運転中にトイレに行きたくなった場合は、次の停留所まで我慢する必要があることもあります。
これはバス運転手特有の悩みで、これに対処するためには自己管理が求められます。
以上のようなメリットとデメリットを理解した上で、バス運転手という職業を選択することが重要です。
運転中にトイレに行きたくなったら?
バス運転手の仕事において、一見些細に思えるが実は重要な問題となるのが、運転中のトイレの問題です。この問題について解説します。
まず、運転中にトイレに行きたくなった場合、原則として次の停留所まで我慢する必要があります。
これは安全性を確保するためであり、突然の停車は乗客や他のドライバーにとって危険な状況を作り出す可能性があるからです。
しかし、それだけでなくバス運転手としては、こうした状況を最小限に抑えるための自己管理も非常に重要となります。
具体的には、適度な水分補給と排泄のタイミングをうまく調節することが求められます。
また、休憩時間には確実にトイレを利用するなど、自分の体調と仕事のバランスをとる工夫が必要です。
それでも急なトイレの必要性が生じた場合に備えて、適切な対応策を持っていることも重要です。
大抵のバス会社では、このような緊急時の対応プロトコルが存在します。
運転手はこのプロトコルに従い、例えば事務所に連絡を取ったり、適切な場所で一時的にバスを停車させるなどの対応をとります。
運転中のトイレ問題は、バス運転手の仕事の一部であり、この問題をうまく管理し解決するスキルが求められます。
まとめ
今回、バス運転手になるための全てを詳しく解説してきました。
私たちの日常生活において欠かせない存在であるバス運転手の仕事は、一見単純ながらも様々な専門性を要する職業であり、大きな魅力と課題が両立しています。
バス運転手になることは、確かに大きな責任と技術が必要な職業です。しかし、その一方で、多くの人々の生活を支え、地域をつなぎ、人々の移動を可能にする重要な役割を果たします。これこそがバス運転手の魅力であり、大型二種免許取得に向けて挑戦する大きなモチベーションになるかと思います。
一人でも多くの方がこの記事を読んで、バス運転手という職業に興味を持ち、新たな一歩を踏み出していただければ幸いです。
最後になりますが、バス運転手としての道を歩んでいく皆さんの成功を祈っております。